加盟校の皆さんへ

高校野球みんなの手引き

令和5年度より、「高校野球・みんなの手引き」というページを作成いたしました。

ここには高校野球関係者(指導者・審判委員)はもとより、多くの皆様にも知っていただきたい公認野球規則の改正とその解説、アマチュア野球内規、高校野球特別規則、高校野球用具の使用制限などについて掲載しています。

これらの内容の元となっているのは「高校野球審判の手引き」という、当連盟が発刊しているハンドブックです。より多くの皆様にもご覧いただけるようにホームページ上に掲載することとしましたので、ぜひご活用ください。

選手と審判の心・技・体

公益財団法人日本高等学校野球連盟
会長 寶 馨

プロ野球や社会人野球の選手は、野球そのものが仕事であったり、勤務先の仕事に従事したりしており、自らの収入を持って生活してい ます。一方、大学生や高校生は、一般に仕事を持たず、家族の支援によって生活し、クラブ活動としての野球に取り組んでいます。

とりわけ高校生は、15歳から18歳という年齢層であり、精神的にも肉体的にも成長途上であるから、この高校野球の期間に正しい野球の取り組み方を学び、心・技・体の鍛錬をし、野球選手としてのみならず、高校を卒業した後の人生においても様々な形で社会に貢献する人 間に育ってもらいたいというのが、我々の願いであります。高校野球は教育の一環であるという考え方の基盤に立って、日々、指導がなさ れていることは広く了知されているところです。

本書は「高校野球審判の手引き」として、2年に1度、改訂を重ねながら長年にわたって使用されてきたものです。審判委員のみならず、連盟の役員、関係者、事務職員にも是非目を通しておいていただきたいものです。冊子体は、手のひらサイズのいわゆるハンドブックのような体裁であり、持ち運びや使用に便利なようになっています。しかしながら、この貴重な冊子の内容や考え方をさらに広く普及する必要があります。そのため、冊子体のみならず、高野連のホームページからもダウンロードできるようにしていきたいと考えているところです。

高校野球の審判は、上述したような発達途上の高校生の試合において、単にプレーのアウト・セーフ、ボール・ストライクの判定をするだけではありません。正確なジャッジと、選手を励ましつつ適正な行動を促して、きびきびとした清々しい試合運びを高校生とともに作り出すことを心がけています。控え選手が代打や代走で出場してきた時も、適宜間をとって、スコアボードに選手名が表示されるよう配慮する場合もあります。これらのことはまた、高校野球を観戦する各位にも、選手と審判が一体となっての溌剌とした試合ぶりに共感をもたらし、今日までの高校野球人気にもつながっていると言えましょう。

さて、審判全体として抱えている課題の一つは、若い世代の審判の育成であります。共稼ぎ夫婦も多く、子育てや家事の分担もある状況のもとで、週末に審判のためにグラウンドに出かけることには制約が出てきます。かと言って、審判としての技量の向上には試合数をこなすことも避けられません。現代社会の生活面の観点から、審判の皆さんがグラウンドに出やすい環境や仕組みづくりに尽力する時期に来ていると言えます。これとも関連しますが、野球の競技人口が減少傾向にあることも問題です。その一方で、女子高校野球は人気を得つつあることも確かです。女性が審判として活躍する場も考えていき、女性審判の数が増えていくような工夫も必要でありましょう。

現代の科学技術は日進月歩であり、インターネットによる高校野球の配信も日常的になってきました。一つひとつのプレー、一つひとつのジャッジが、全世界に放映されるのです。この観点からも審判技術の向上、ジャッジの透明性が従来以上に求められていることは疑いありません。審判各位におかれては、技量の向上のためにより一層研鑽を積まれることをお願いしたいと存じます。

野球を愛する高校生の心・技・体を健全に育成してまいります。そのためには、審判各位の心・技・体も常により良い状態を維持し健全でなければなりません。本書をその拠り所としていただければ幸いです。

なお、2024年のシーズンイン(3月)から新規格の金属バットの導入がなされることをここに付記しておきます。初めて金属バットが日本の高校野球に正式に導入されたのは1974年でありました。実は私が高校3年生の時であり、当時日本高野連から各校に2本ずつ米国製の金属バットが配布されたことを思い出します。その後、金属バットは種々改良が加えられ、反発力や飛距離も出るようになりました。このことが逆に、特にピッチャーライナーのような打球の危険性も増大させてきた側面があります。プレー中の事故を回避する目的で従前よりも反発力を抑制した規格にするべく実験と検証を重ねてきました。この時間を要する作業に携わられたすべての関係者の皆様方に御礼申し上げる次第であります。

ロボット・アンパイアについて

ノンフィクション作家
佐山 和夫(日本高等学校野球連盟顧問)

人間に代わってコンピューターがアンパイアをするという話は、随分以前からあった。しかし、それはファンからも選手たちからも反対する声が多く、実現は延び延びになっていた。ところが、ここにきて、ボール/ストライクの判定での導入が、にわかにアメリカで現実化してきた。

今年の1月12日の発表によると、大リーグ傘下の3A級30球場のすべてにおいて、今季からの導入が決められたという。いよいよ、メジャー・リーグでもその実施が間近になってきたというわけだ。

アンパイアの話になると、いつも思い出すのが、オハイオ州コロンバスでの「ヴィンテージ・ベースボール」(古式野球)のことだ。初期のベースボールを忠実に再現しようとしてきたそのゲームでは、アンパイアこそが、その中心人物だった。

威儀を正した黒の儀礼服に、巨大なシルクハット。手には凝った杖、銀色の顔髯の中にやさしい微笑を浮かべて、ホームプレートから一塁側へ20フィートほど離れたところに立っている。アンパイアとはいっても、彼はボール/ストライクの判定や、アウト/セーフの宣言をするためにそこにいるのではなかった。ゲームが平和裡に、安全に、楽しく行われるのを見守るのが最大の役目だった。

貴婦人の来訪があれば案内役をつとめ、ルールに無案内な者がいれば、優しく教示する。人々から声を掛けられることが多いのは、彼が最大の人気者だからだろう。

“A Game Of Inches”という本には、こう書かれている。「1859年からの10年ほどは、アンパイアはとても栄誉のある役職とされた。ゲームのあと、選手たちは互いに相手チームに三呼のエールを送ることにしていたが、最後にはアンパイアに対しても三度、四度……いや、ときには九度ものエールを送った」

彼の立ち位置には、安楽椅子や日傘も用意されることがあり、ゲーム後には、ホームチームにより御馳走とビールが用意されていた。

ゲームそのものが、親睦のためのものから競技性を強めていき、やがては勝負を決するためのものとなるにつれ、アンパイアの役目も待遇も、急激に変化した。ルールの改定は常に起きるから、その仕事は大変だ。いま現在も、一部で試験的に行われている新ルールや、検討中のものを数えると、驚くべき数になる。

中でも、最も早く大リーグで採用されそうなのが、このロボット・アンパイア。球史の初めにおいて、あれほど尊重されていた高尚なる地位が、あっさりとコンピューターに譲渡されてしまうのは、なんだか寂しい。

ロボット・アンパイアは本当に野球を豊かに、楽しくするのか。それをしかと確かめることが必要だ。

加盟校のみなさんへ