目的
現在、都道府県連盟では、独自の大会について、開催に向けての準備や開催を模索しています。多くの学校では、約3か月間の部活動自粛期間があり、チームとして再始動した直後は、活動自粛前の練習メニューを急に実践すると故障をしてしまう可能性があります。また、例年以上に熱中症などにも注意して練習することが大切だと考えました。
そこで、当連盟では全国の加盟校の部員、指導者のみなさんへ向けて、短期間でどのような準備が必要かを考え、参考となるような練習メニューやトレーニング方法などを紹介します。
内容
今回紹介するプログラムでは、試合までの準備期間を1か月間と想定し、1週間ごとに練習メニューをステップアップさせた全4回分を動画で紹介します。この実技編の動画は、U18高校日本代表の馬淵史郎監督と明徳義塾高校野球部に協力をしてもらいました。基礎から実戦練習まで、留意点を紹介しています。また、一般社団法人アスリートケア(スポーツ障害の治療と予防に関する実践と研究、情報発信と交流を目的としている理学療法士団体)のご協力のもと、肩、肘、股関節など部位別ストレッチ方法や熱中症予防対策を合わせて紹介しています。
1週目(準備期)
体力強化や基礎練習を中心にしたメニュー。前半は特に心肺機能を高めることに重点をおく。
投手 | 野手 | 打撃 |
---|---|---|
キャッチボール 遠投 30m~40m 10分 立ち投げ(ブルペン) 20~30球 (6割程度) |
キャッチボール 30m~40m 10分 ペッパー 1分×3人(3人組) 股割り (各種捕球練習) ポジションノック |
ティー打撃 50球~ スイング 100回~ ※体力に応じて |
2週目(準備練習期)
基礎練習を中心に、ポジションノックやシートノックを開始
投手 | 野手 | 打撃 |
---|---|---|
キャッチボール 30m~40m 10分 遠投 1日おきで50mから 立ち投げ (ブルペン) (8割程度) 30~40球 投球練習 (ブルペン) ※週の後半 30球程度 |
キャッチボール ペッパー 1分×3人(3人組) 股割り (各種捕球練習) 15~20分 ポジションノック シートノック ベースランニング(10塁打程度) |
ティー打撃 50球~ ロングティー フリー打撃 (カーブマシン) スイング 100回~ バント練習 |
3週目(実戦練習期)
シートノックや投内連係、ゲームノックなど試合感覚を養う。
投手 | 野手 | 打撃 |
---|---|---|
キャッチボール 30m~40m 10分 遠投 50mまで 1日おき フィールディング練習 10分 牽制練習 投球練習 (ブルペン) (8割程度) 40~50球 ※変化球も混ぜて、1日おき シート打撃のBTP (6~9人くらい) |
キャッチボール シートノック (内外野) 投内連係 捕手の捕球練習 シート打撃 ベースランニング (10塁打程度) ゲームノック |
ペッパー ティー打撃、ロングティー フリー打撃(緩急交えて) (ストレートマシン or 投手) シート打撃 (ストレートマシン or 投手) ※体力に応じて |
4週目(完成期)
紅白戦や練習試合を行う。投手は、短い2~3イニングから始め、徐々に長いイニングへ。各自の課題に対する反省練習も実施。
熱中症予防
熱中症予防対策を取り入れて夏季における部活動の練習効率を向上させましょう。
毎日の体調チェック※1
毎日の体調チェックで自己管理の徹底をしましょう。その日の体調に合わせて、練習メニューを調整し無理のないように取り組みましょう。
水分補給のタイミング
練習中は15~20分毎にコップ1杯を補給できるように心掛けましょう。のどが渇く前に水分補給をしていくことが大切です。(試合中は1イニングに1回の水分補給)また、長時間の運動で汗をたくさんかく場合にはスポーツ飲料、経口補水液なども併用して補給しましょう。
冷却方法※2
イラストのように身体内部(アイススラリーの摂取)と外部からの冷却(頸部冷却、クーリングベストの着用、手掌冷却)を組み合わせることが重要です。身体冷却方法とその特徴を示した表も参考にしてください。
手掌冷却※3
氷水で冷やした水入りペットボトルを利用して手掌や首回りなどを冷やす方法です。氷水温度は10℃前後とし、手掌冷却時間は5~10分程度です。
冷却のタイミング
体温の上昇が続くと余分なエネルギーを消耗してしまうため、運動前、運動中、休憩時、運動後と定期的に冷却のタイミングを作ることを意識しましょう。
冷却の時間
冷却方法とタイミングにより冷却時間を調整してみましょう。特に投手は、投球側の指先はとても繊細なので、制球に影響がでないように冷却には十分注意してください。
ケガ予防を目的としたトレーニング
身体の状態を自分で確かめながら気になる部位のストレッチやトレーニングでけが予防に繋げてください。