高校野球200年構想ちびっ子ベースボールフェスティバル
バットとボールで楽しく遊ぼう
野球の楽しさに触れてもらいたい
野球をしたことがない小さな子どもたちにバットやボールを使って遊んで野球の楽しさに触れてもらいたい。そのような思いから、高校野球200年構想では、主要事業とは別に、「ちびっ子ベースボールフェスティバル(キッズフェス)」の実施に対して助成しています。
未就学児や小学低学年を対象とした、ティーボールなどを使って遊ぶイベント「キッズフェス」を、都道府県高野連と日本高野連、朝日・毎日両新聞社との3者による共催で行う場合、初開催の場合は費用の全額を高校野球200年構想から支出します。2回目以降、都道府県高野連が単独で実施する場合も一部助成します。
公園でボールの使用が禁止されるなど、かつてと比べると、小さな子どもがベースボール型のゲームに触れる機会が減ってきています。まずはバットやボールで遊ぶ機会を作っていきたいと考えています。
キッズフェスには、現役の高校球児やマネジャーらも参加して、子どもたちの相手を務めます。一人一人、個性の違う子どもたちと向き合い、野球を楽しんでもらえるように考えながら接することは、高校生たちが自ら学び、考える力をつけることにもつながると期待しています。少子化で小さな子どもと接する機会が減っているなか、高校生にとっても貴重な経験です。
参加した子どもや保護者からは、「高校生のお兄ちゃんが優しかった」「礼儀正しくて、かっこいい球児の姿を見て、子どもが野球に興味を持った」といった感想も寄せられています。
200年構想が始まった2018年から22年までの4年間で13連盟が「キッズフェス」を開催し、子どもたちや保護者ら約5,300人が参加しました。今後も、多くの都道府県で開催できるよう努力していきます。
高校生も活躍し、広島で「キッズフェス」
広島県高野連が2024年12月8日、幼稚園や保育園の子どもを対象としたイベント「キッズフェスタin広島」を広島市南区の広島カープ屋内練習場で開催しました。午前、午後2回の開催で、約200人の応募の中から選ばれた子どもたち各65人が参加し、子ども用のボールやバットを使って遊びました。
午前10時、午前の部が始まると、高校球児が前に出て、子どもたちに案内を始めました。この日は、広島県内から40校の約160人の野球部員が参加しました。色付きのリストバンドで6組に分かれた子どもたちは、イベントの間ずっと、パートナーとなる高校生のお兄さん、お姉さんとペアで行動しました。
子どもたちは、まず2組ずつが守備と攻撃に分かれ、野球未経験者でも簡単に楽しめる野球形式の競技「BTボール」で対戦しました。その他のスペースには、的当てやストラックアウト、玉入れ、バッティングが用意され、BTボールの前後に、自由に体験して回りました。最初は遠慮がちだった子どもも、うまくいくと褒められて喜んでいるうちに打ち解け、高校生とハイタッチするなど笑顔がはじけていました。
高校生は前日の設営にも参加し、当日は子どもたちをリードするなどして活躍しました。参加した高校2年生は「自分たちにもこんな時があったと思い出しました。子どもたちにぜひ野球をしてほしい」と話していました。高校生たちがこの経験をもとに、地元でTボール教室などを開催して野球の楽しさを次の世代にも広めていくことも期待しています。
広島東洋カープ、NPBが協力
広島県高野連は2019年に初めて、高校野球200年構想の助成を受けたキッズフェスを開催しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により20年は実施できなかったものの、21年以降は毎年、県内各地でTボール教室を行ってきました。そして今年は初めて日本野球機構(NPB)と広島東洋カープの協力を得て、キッズフェスを開催しました。
プロ側の協力を得たことで、講師役に広島東洋カープのベースボールクリニックコーチの浅井樹さん、広島県出身のジャイアンツアカデミーコーチ・西村健太朗さんを招くこととなりました。また、NPB野球振興室職員の運営協力や、グッズの提供などの支援も受けました。
広島県高野連の田中裕之助理事長は「今回、NPBの仲介により、広島東洋カープと連携するきっかけを作っていただき、屋内練習場を借りる話やフェスの打ち合わせなどをスムーズに進めることができました。来年度以降も県内各地のTボール教室だけでなく、大規模なキッズフェスを広島東洋カープと一緒に開催し、より多くの子どもたちが野球を好きになってほしい」と話していました。
見学に来ていた鳥取県高野連の田村嘉庸理事長は「中国地区は歩調を合わせて、加盟校に、学校近くの幼稚園や保育園とつながりを持つ『1校1園』の取り組みを進めていこうと呼びかけています。来年秋には鳥取でもNPBと協働してイベントを開きたい」と話していました。
野球界の各団体が連携して普及や振興に取り組むことは、イベントの質の向上や動員などの面でメリットは大きく、今後のさらなる展開が期待されます。