高校野球200年構想振興
野球経験者を高校生らが指導
小中学生に野球を続けてもらうため
高校野球200年構想では、野球をしている小中学生を対象とした野球教室の開催を主要7事業の一つ「振興」と位置づけ、助成しています。高校生や高校の指導者から指導を受けた児童や生徒たちに、高校野球を身近に感じてもらうとともに、「もっと上手になりたい」「高校でもプレーを続けたい」と思ってもらうことが目的です。2023年度には小中学生を対象にした野球教室が、30連盟で延べ241回開かれました。
中学校部活動の地域移行によって、地域のクラブチームなどの受け皿が整わず、野球をやめてしまう子どもが増えることが危惧されています。小学校、中学校から高校へとスムーズに野球を継続できるようにするため、各年代の組織が協力して態勢作りに取り組む必要があります。
正しい動きを一緒に学ぶ・新潟
新潟県長岡市で2026年2月22日、新潟県高野連と長岡野球協議会(NaBC)の主催で「長岡市NaBC野球教室」が開かれました。長岡高校の野球部員20人と中学生26人、小学生18人が参加しました。
腕の使い方を一緒に確認
今回の野球教室には、群馬大学の小山啓太准教授を講師として招きました。スポーツ障害予防、ボール運動と子どもの発達発育をテーマに研究されており、けがをしないための身体の動かし方などを、小中学生と高校生が一緒になって学びました。
最初はラグビーボールのようなだ円形のゴムボールを使って準備運動。目をつむって頭の上、背中越し、膝の後ろなどに素早くボールを回しますが、落とすとだ円形ボールは不規則に弾んでしまいます。高校生が小中学生に優しく声を掛け、見本を示していました。
グラブを使ってのキャッチボールでも、丸いボールとは違ってボールがなかなかまっすぐ飛ばず、コツをつかむのに四苦八苦。その分、和気あいあいとした雰囲気になりました。
高校生と一緒にキャッチボール
その後も、正しい身体の使い方を学ぶため、バットを胸の前で抱えて体をひねったり、高校生1人と小中学生2人の3人一組になって、交代しながらスイングの軌道のチェックをしたりしました。
スイングの軌道を一緒にチェック
大人も交えて9人ずつグループに分かれてのボール回し、尺取り虫のような動きで進んだり、反り返って両手両足で前進したりするリレーなど、グループごとに速さを競い合う展開に、参加者の笑顔がはじけて大いに盛り上がりました。
指導した小山さんは「新潟の子たちはすごく真面目に取り組んでくれました。紹介した体幹を鍛える運動は、ほとんどが昔は遊びの中で培ってきた動きですが、今の子には新鮮に映ったかもしれません」と話します。
予定していた3時間の教室は濃密な内容で、あっという間に終わった感じで、小中学生に精力的に声を掛けていた長岡高の楳田(うめだ)晴主将は「みんな楽しみながら上手になっていくのではと感じました。小中学生を引っ張っていくことで、私たちにも新たな学びがありました」と振り返りました。
高校生が投げ方をアドバイス
小山さんはこの日の冒頭のあいさつで、今回の経験をより有意義なものにするため、参加者に
- ①「ありがとう」を何度も言って共感力を高める
- ②やったことのないことに挑戦して、動きを覚える
- ③人のことをよく見て、よく聞いて自分の力にする
地域の野球協議会が主催
新潟県では2011年11月に県青少年野球団体協議会が設立されました。県野球連盟、県高野連や中学校体育連盟軟式野球専門部、県体育協会スポーツ少年団、硬式スポーツ少年団の県ブロックなど9団体で組織されています。
ベースボールフェスタを毎年開くほか、小学校から高校生まですべての選手、指導者が目指すべき野球の姿をまとめた冊子「新潟メソッド」を作成。保護者向けに野球を通じて学んでほしいこと、指導者、選手が守るべき基本的なマナー、故障によって野球をあきらめる選手を少しでも減らすための技術などをまとめています。また、選手が成長して所属が変わっても、肩ひじなどの故障歴を共有できる欄を設けるなど、現在の「野球ねっと」が持つ要素をいち早く取り入れたのも大きな特徴です。
県内には新潟、柏崎、長岡、阿賀北の四つの地域協議会があり、各地域で毎年、野球フェスタを開催しています。今回の野球教室を主催した長岡野球協議会(NaBC)には、長岡市野球連盟、スポーツ少年団、硬式野球協会、中体連軟式専門部、県高野連加盟の市内にある高校が所属しています。
年代を超えて野球教室で交流
渉外、普及・育成、障がい防止、調整、審判の五つの委員会があり、各部門で年間計画を作って活動しています。年代別の球場利用を融通し合うのが調整委員会です。今回の教室は当初、昨年11月3日に長岡市野球フェスタの一つとして計画されていましたが、雨天により当日は肩ひじ検査のみ実施。教室は2月に行うことをすぐに決めました。
地域ごとに野球協議会があると互いの顔が見えやすいため連携がとりやすく、少人数を対象とした野球教室を開けるなどのメリットがあります。新潟県高野連の神蔵紀明専務理事は「今後も子どもたちに野球を続けてもらえるように、高野連として各協議会とどのようにかかわり、何が出来るかを考えていきたい」と話しています。
終了後、記念撮影する「長岡市NaBC野球教室」の参加者ら