高校野球とは

高校野球200年構想基盤作り

野球協議会の設立を支援

組織の垣根を越え、野球のために

野球は子どもから大人まで幅広い世代の人々が楽しんでいるスポーツです。より多くの人が野球を楽しめるための環境作りは高校野球だけでできることではありません。

普及・振興やけが予防などの事業を進めるためには他の野球団体との連携、協力が不可欠なことから、高校野球200年構想では2018年のスタート時から、都道府県単位での野球協議会設立を推奨し、協議会設立を「基盤作り」として主要事業の一つに位置付けてきました。24年からは、主要事業とは別枠で、設立準備のための費用などや設立後の事務局運営費などを助成しています。

協議会の設立状況について、全国47都道府県高野連を対象に2024年12月に行ったアンケートによると、「設立済み」は26連盟、「近い将来設立見込み」は7連盟でした。構想が始まった翌年の19年の調査では、設立済みは20連盟で、コロナ禍で設立に向けた動きが止まったケースがありながらも、着実に増えています。

すでに協議会が設立されている場合、各団体合同での野球未経験者のためのイベントや技術指導の講習会、肩ひじ検診など多様な事業が実施されています。各団体の強みを生かして協働することで、個別に展開するよりも、事業内容を質、量ともに充実させることができます。

野球をさらに多くの人に楽しんでもらうために全国各地で野球に関わる組織が力を合わせて活動できるよう、高校野球200年構想は野球協議会の設立を支援していきます。

NPO法人愛知県野球協議会が設立総会

2025年2月7日、特定非営利活動(NPO)法人愛知県野球協議会の設立総会が名古屋市内で開かれました。社会人野球から少年野球まで、愛知県内のアマチュアの硬式野球団体のメンバーが一堂に会しました。

名古屋市内で開かれた愛知県野球協議会の設立総会=2025年2月7日
主な参加団体
日本野球連盟東海地区愛知県野球連盟
愛知大学野球連盟
愛知県高等学校野球連盟
中部女子硬式野球連盟
愛知県中学硬式野球協議会
日本リトルリーグ野球協会東海連盟愛知県支部
諸課題に一体となって取り組み

東京、神奈川、大阪に次いで人口の多い愛知県には、各団体の加盟チームや選手の数も多く、団体ごとに普及、振興の活動を行っていました。しかし近年、若年層の競技人口が減少傾向にあるほか、グラウンド不足など個々の団体だけでは解決できない課題もあることから、各世代をつなげて、さまざまな課題に一体となって取り組む必要があるとして、約1年前、野球協議会設立についての話し合いが始まりました。

愛知県野球協議会を紹介するリーフレット

意欲的に意見交換を重ね、国や地方自治体の補助金を受けられ、税制面でも優遇されるNPO法人としての立ち上げを目指しました。組織内に総務、会計、広報・IT、企画運営各部を設置・運営することなどを確認し、定款も作成しました。必要書類をそろえて6月末には内閣府に申請し、3カ月後に認証を受けるなど着々と準備を進めてきました。これら準備のための費用に、高校野球200年構想からの助成金が活用されました。

会長には、愛知県高野連前理事長の神田清さんが就任しました。各加盟団体からの代表者を正会員とし、野球に理解を示す議員らは招聘会員、趣旨に賛同する会社経営者らも賛助会員として加わり、野球団体以外の方々にもさまざまな形で協力を仰いでいきます。

設立趣旨書では、「少子化、子どものスポーツ離れ及びスポーツの多様化による野球人口の減少に歯止めをかけ、地域及び各団体の相互協力により野球の興隆を目指すとともに次代を担う青少年の育成に取り組む」としています。

設立総会であいさつをする神田会長
女子選手の交流会も計画

設立総会では、24年度の事業計画として、各団体で従来から取り組んできた中学硬式野球3団体の交流戦やキッズベースボールイベントの開催、球場や練習施設など関連施設の清掃、ウェブサイトの作成などを確認。25年度は指導者講習会、若手審判員の養成講座、指導者の派遣など新たな事業の展開や、スポンサーや会員の募集を進めるため協議会のリーフレット1000部作成などの事業計画を立て、予算案を承認しました。学童・女子の活動を盛んにすることを目指し、高校、大学、中学生の女子選手による年2回の交流会の開催も計画に盛り込みました。

ボーイズリーグが開催した「ボールパーク」。同様のイベントを今後は愛知県野球協議会としても実施していく予定。
(日本少年野球連盟愛知県中央支部提供)
さらなる参加を呼びかけ

愛知県高野連の鶴田賀宣専務理事は「県内は自動車産業が盛んで社会人野球も強く、社会人の大会では子どもたちが遊べるスペースを設けるなどされています。高校野球でも大会中、決勝前などに子ども向けのイベントを開いており、参加者募集の案内など各団体一緒にやることで効率を上げられるのでは」と期待しています。愛知大学野球連盟の櫻井智章さんも「高校のイベントに大学生も警備面などで協力していきたい」と前向きに話しています。

アマチュアの硬式野球の団体で協議会をスタートさせましたが、県内には小中学校の組織を傘下に抱える軟式野球の団体などもあります。愛知県中学硬式野球協議会に所属するボーイズリーグ相談役の堀内健さんは「軟式連盟にも加盟を働き掛けています。選手たちが、次の年代でも野球を続けたいと思えるようなイベントを一緒にできれば」と意欲を燃やしており、今後、さらに輪が広がっていくことが期待されます。

高校野球200年構想